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プロトンポンプ阻害薬
胃に関連する疾患の治療薬は大きく2つに分けられる 攻撃因子(胃液)抑制薬と防御因子抑制薬である 胃酸の分泌を抑制する薬剤にはプロトンポンプ阻害薬や、H2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)、選択的ムスカリン受容体拮抗薬、抗ガストリン薬、抗コリン薬などがある、これらは胃内における攻撃因子を抑制する薬剤であり その他防御因子を増強させる薬剤としてPGプロスタグランジン製剤や粘膜保護剤、組織修復、粘液産生分泌促進薬、抗ドパミン薬などがある プロトンポンプ阻害薬(PPI)は攻撃因子抑制薬の中でもその作用は最強である 特に有用に用いられている例として胃潰瘍の原因菌となるヘリコバクター・ピロリの除菌療法においてサワシリン(アモキシシリン)とクラリス(クラリスロマイシン)と共に用いられる例が挙げられる 作用機序はH+分泌の最終段階であるプロトンポンプを特異的に阻害する事である
プロスタグランジン製剤
プロスタグランジンの作用として強力な1.血管拡張作用、2.血小板抑制作用、3.胃粘膜保護作用、4.子宮収縮作用などが挙げられる その中の1、においてPGE1であるアルプロスタジルアルファデクス(プロスタンディン)は血管の平滑筋に作用し慢性動脈性閉塞患者に対して用いられる 剤形外用薬として軟膏:プロスタンディン軟膏、局所血流の不全による潰瘍の治療、注射:プロスタンディン、PGE1を脂質であるレシチンで覆ったパルクス、りプル等の他、内服薬としてリマプロストアルファデクスであるオパルモン、プロレナール等がある 2、の作用は上述した薬剤とその誘導体であるPGI2プロサイリン、ドルナーなども持ち血管の血流促進に寄与する 3.の胃粘膜保護作用は胃粘膜において攻撃因子胃液などから胃を守るために働く代表的な内服薬としてミソプロストール:サイトテック、エンプロスチル:カムリードなどがあり他の薬剤(NSAIDS等の胃潰瘍のリスクのある薬剤)と共に処方される事も多い 4.の作用を利用して妊娠末期における陣痛誘発、促進、分娩促進などの適応を持つPGE製剤、ジノプロスト:プロスタルモン・F、プロスタグランジンF2α、グランディノンや、ジノプロストン:プロスタルモンE、プロスタグランジンE2などがある
不眠
不眠の種類としては、入眠障害、熟眠障害、中断型睡眠障害がある 入眠障害は、寝つきが悪いが、入眠すれば朝までぐっすり眠る 熟眠障害は、夢をよく見てすぐ覚醒する 中断型睡眠障害は、早期覚醒や夜中に何度も覚醒し、その後、入眠できない型である 原因として多いものは、老化によるもの、うつ病、過度の心労が挙げられる それぞれの症状によって使用する薬剤は異なる また、不眠の背後には、生活習慣の乱れがある場合があり、不眠に対して即時に薬物によって治療する前に、環境を整える事も必要であるとされている 服薬は睡眠の30分前に、起床時間を一定化する、適度な運動、室内環境への配慮、夕方以降のカフェイン摂取を抑える、過度のアルコール摂取の抑制、ニコチンの摂取を抑制、昼寝をしすぎない様にする、夜、ぬるめの入浴を行う、牛乳を飲む、朝日にあたる等の日常生活内の生活習慣、生活環境を整える事が、不眠に対して有効であるとされている
不眠治療薬
原因別による、睡眠薬の使い分け 睡眠相に異常が見られる場合:超短時間型、短時間型の薬物が用いられる 高齢者の睡眠障害: ロルメタゼパム(エバミール)、ゾルピデム(マイスリー)を低用量から用いる 短期不眠:短時間作用型を少量から開始する 付加的に抗不安薬を日中に併せて用いる事も有効 神経症性不眠:超短時間型や、短時間型の睡眠薬を用いる 夕方、不安を訴える場合、抗不安薬を併せて用いる 中間型、長時間作用型を用いる事で夕方の不安を緩和する事も有用 精神障害に伴う不眠:うつ病に伴う不眠には抗うつ薬と共に中間作用型、長時間作用型の睡眠薬を用いる 抗うつ薬の睡眠前の投与も有効とされている 統合失調症の場合、催眠作用の強い抗精神病薬レボメプロマジン(ヒルナミン、レボトミン)、クエチピンを投与する 身体疾患による不眠:原因となる疾患の治療を行う 睡眠時無呼吸症候群:アセタゾラミド(ダイアモックス)の投与 アルコール連用者の不眠、その他の嗜好品(カフェイン、ニコチン)による不眠:中間型、長時間作用型の睡眠薬を用いる 薬原性不眠:ステロイド、インターフェロン、ドパミンアゴニスト、脳血流関門を通過し易いβーブロッカー、H2ブロッカーが、テオフィリン(テオドール、テオロング)が、原因となる
作用時間別による使い分け:超短時間型:追加投与に適しており、旅行時などの一過性不眠に用いる またゾルピデム(マイスリー)は非ベンゾジアゼピンに見られる、耐性が少なく、筋弛緩作用も弱い、その為、反跳性の不眠を引き起こしにくく、高齢者において転倒のリスクも少ない 短時間型:血中濃度の半減期は比較的短く、翌朝にまで影響を及ぼすような持ち越し効果が少ない 中間型:連用による蓄積、持ち越し効果に注意し、一過性不眠や兆期睡眠障害に用いる 長時間型:作用時間が長いので、早期覚醒型、日中の不安を持つケースで用いる