抗リウマチ薬(DMARDs)

関節リウマチ(RA)改訂分類基準が米国リウマチ学会(ACR)、欧州リウマチ学会(EULAR)により2010年共同提案された。改訂分類基準に基づき関節リウマチ(RA)をより早期に診断し、寛解・治療(関節破壊進行阻止)を目的とし抗リウマチ薬を使用する事を第1義的な事としている。

症状

関節リウマチとは自己免疫疾患の1種でV型アレルギーに分類される。関節の炎症、軟骨や骨の破壊、変形がおこる。発熱、倦怠感、食欲不振などを伴う。特徴として発症する年齢は30〜50歳代の女性に多く、男女比で約 1:4位とされている。 

RA診断基準

関節所見とCCP、RF、CRPが診断の手がかりとなる。

関節所見

大関節(足関節以上)

大関節

小関節(手関節以下、大関節はあってもよい)

小関節(大関節はあってもよい)

関節(少なくとも1小関節を含む)

自己抗体

RF(−)かつ抗CCP抗体(−)

RF(+)又は抗CCP抗体(+)基準値上限の3倍以下

RF(++)又は抗CCP抗体(++)基準値上限の3倍を超える

血清

血清CRP正常かつ赤沈正常

血清CRP増加または、赤沈亢進

ACR/EULAR 2010より


治療戦略

上記の診断で関節リウマチと診断された場合、6か月以内の治療目標の達成を目指してまずMTXの使用を検討する。MTXで効果不十分と考えられる場合抗リウマチ薬を追加、併用する。6か月を経過してもなお治療目標が達成されない場合、生物学的製剤、JAK阻害薬の使用を検討する。

1、妊婦、2、過敏症、3、重症感染症、4、重症臓器障害、5、胸水、腹水の場合、MTX禁忌であり、従来型の抗リウマチ薬の使用を開始する。

初期治療:

患者教育

診断3か月以内の抗リウマチ薬の開始

NSAIDs(非ステロイド系抗炎症薬のページを参照)の使用を考慮

局所注射

リハビリテーション         


ACRガイドライン、2002より


リウマチ疾患の治療の中心はメトトレキサー:トMTX(以下表の免疫抑制薬)であり、補助的に非ステロイド系抗炎症薬、ステロイド薬を用いる。抗リウマチ薬を追加または変更する場合、MTXを使用していなければMTX、他の抗リウマチ薬、2剤以上の併用を行う。

MTXを使用しているがその効果が認められない場合、他の抗リウマチ薬、生物学的製剤を単独、または他の薬剤と併用する。


抗リウマチ薬の分類


一般名(商品名)  強さ 作用発現

免疫調節薬 

金チオリンゴ酸ナトリウム(シオゾール) ++ 計200mg(3か月〜)

ペニシラミン(メタルカプターゼ) ++ 1〜3か月

ロベンザリット(カルフェニール) ± 3〜6ヶ月

オーラノフィン(リドーラ) + 3〜6ヶ月

プシラミン(リマチル) ++ 1〜3か月

アクタリット(オークル、モーバー) + 3〜6ヶ月

サラゾスルファピリジン(アザルフィジンEN) ++ 2〜4週間

免疫抑制薬 

ミゾルビン(プレディニン) + 3〜6か月

メトトレキサート(リウマトレクス) ++ 2〜4週間

レフルノミド(アラバ) ++ 1〜4週間

タクロリムス(プログラフ) ++ 2〜4週間

生物学的製剤 

インフリキシマブ(レミケード) +++ 1〜4週間

エタネルセプト(エンブレル) +++ 1〜4週間

厚生労働省ガイドラインより

抗リウマチ薬の代表的な副作用

血液障害、腎障害、肝障害、間質性肺炎、感染症など


以下各薬剤 医薬品添付文書

シオゾール

メタルカプターゼ

カルフェニール

オーラノフィン「サワイ」

リマチル

オークル

モーバー

アザルフィジン EN

ケアラム

コルベット

リウマトレックス

アラバ

ゼルヤンツ

オルミエント

レミケード

エンブレル

ヒュミラ

シンポニー

シムジア

アクテムラ 点滴静注用

アクテムラ  皮下注

ケブザラ

イラリス 皮下注射用

オレンシア 点滴静注用

オレンシア皮下注







  
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